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甘夏ソースで召し上がれ

根暗だけどミーハーな私のブログという名の雑記

甘夏ソースで召し上がれ

これぞ黒手塚!20年以上地下室に幽閉された少女『奇子』【ネタバレ感想】

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奇子


作者:手塚 治虫 巻数:全2巻(文庫版)

掲載:ビッグコミック

こんな人におすすめ

・手塚治虫先生の作品に興味がある人
・ドロドロした人間ドラマが見たい人
・サスペンスが好きな人

『奇子』あらすじ

昭和24年、戦争から帰ってきた天外仁朗は GHQの工作員として活動していた。 ある日、仁朗は組織の上の命令により男を殺害する。

殺害した際についてしまったシャツの返り血を仁朗が洗っていると、天外家の使用人の少女、お涼と自分の父親と兄嫁との間にできた少女奇子(当時4歳)がそれを目撃してしまう。

仁朗はお涼を口封じのために殺害。逃亡。
奇子は一族のメンツの為に表向きには病死した事にされ、天外家の土蔵の地下室に幽閉される事になってしまう...。


※以下ネタバレ要素を含みます。


闇が深すぎる登場人物達

▽天外 仁朗(てんげ じろう)


天外 仁朗
(出典:奇子)


戦争から復員後、GHQ工作員として活動し、上からの命令で実の妹の恋人である 江野を殺害。
その後、名前を変え、地元を離れ裏社会で地位を気付く。

自分のせいで幽閉されてしまった奇子に償いたいという強い気持ちがあり、正体を隠したまま奇子に送金し続けていた。 根は悪い人ではないのかもしれないけど、とにかく簡単に人を殺しまくる(笑)


▽天外 奇子(てんげ あやこ)


天外 奇子
(出典:奇子)


表向きは ゐばが産んだ末娘となっているが、実際は作右衛門が長男の嫁、すえに産ませた子供である。
(つまり、仁郎の腹違いの妹)

4歳の時に仁郎の証拠隠滅現場を目撃してしまい、世間には病死した事にされ、20年以上も土蔵の地下室で幽閉されてしまった可哀想な女の子。


▽天外 作右衛門(てんげ さくえもん)


天外 作右衛門
(出典:奇子)


天外家の当主。傲慢で非情で強欲。
自分がしたい事は何でもやるタイプで、自分の息子の嫁にまで手を出した。そこで産まれたのが奇子。

一言で言うと、最低なクズ当主である。


▽天外 ゐば(てんげ いば)


天外 ゐば
(出典:奇子)


作右衛門の妻。作右衛門と長男に従順。
奇子の身を心配している。


▽天外 市郎(てんげ いちろう)


天外 市郎
(出典:奇子)


天外家の長男。
父、作右衛門が衰えていく一方で天外家の実権を握ろうと必死。 奇子を地下に幽閉しようと言い出したのもこいつ。

権力や金の為なら何でもする作右衛門と並ぶクズ男。最後までクズ。


▽天外 すえ(てんげ すえ)


天外 すえ
(出典:奇子)


市郎の妻。奇子の本当の母親。
市郎との間に子供はいない。作右衛門が亡くなった後、作右衛門から遺産を譲り受けて、地下室の奇子と逃げようとするが、夫の市郎に殺害される。

とにかく散々な人生である。


▽天外 志子(てんげ なおこ)


天外 志子
(出典:奇子)


天外家の長女。
この家族の中ではマトモな方。奇子を心配している。

自分の恋人が実の兄である仁郎に殺害された事を知らない。


▽天外 伺朗(てんげ しろう)


天外 伺朗
(出典:奇子)


天外家の三男。
クズ父とクズ兄達とは違う正義感のある青年。 奇子を可哀想に思い、彼女に尽くしていたがある日、奇子から求められ兄弟ながらも関係を持ってしまう。

私がこの作品で一番好きなキャラ(笑)


▽お涼(おりょう)


お涼
(出典:奇子)


天外家の使用人。
幽閉前まで奇子の遊び相手だったが、仁郎の証拠隠滅現場を目撃してしまい、仁郎に殺害されてしまう。

昼ドラ以上のドロドロさ

天外家の相続問題、殺人事件とかなりドロドロ。

舞台が昭和24年という事もあって時代背景も細かく描かれています。この時代故に生まれてしまった悲劇の物語ってやつですね...。


まぁとにかく、登場する女の人の人生は振り回されてばっかりで全員可哀想。

ラストはどうなるの?奇子の運命は?

ネタバレしてしまいますが、簡潔に書くと奇子は地下室から脱出します。(奇子27歳位)


地元から離れた仁郎に養われる事になりますが、やがて恋人ができます。
(ちなみに恋人は警察の息子)

ですが、仁郎が元部下に後始末として殺されかけます。仁郎は元部下を問いただそうとするも殺害してしまい指名手配に。

天外家へ逃げ、市郎達に洞窟に隠れろと案内される。仁郎に自首して欲しいと一緒に洞窟へ入る奇子と恋人。

結局、洞窟の中で奇子と久しぶりに再会した天外家の兄弟達。
伺朗は市郎達に対して奇子に詫びろ!とキレるが全く反省してない市郎。ブチ切れた 伺朗はダイナマイトで洞窟の入り口を爆破。
奇子は私が閉じ込められていた地下室と同じだぁ~☆と笑い転げる。

生き埋めになったまま数週間が経ち、警察達から見つけ出されるがほぼ全員虫の息。(ほぼ死亡)
奇子だけが生き残り何処かへ姿を消したのであった。


ってなわけで、奇子生存ルートです。

だけど、彼女が何処へ行ってしまったのか、どうなったのかは描かれていません。
ちょっとモヤっとした終わり方かも。

手塚作品の中では「嫌い」という人が多いかも

『奇子』はかなりドロドロしていて、登場人物のほぼ全員クズ(笑)
そして救いようのない展開なので「黒手塚」と呼ばれている作品です。

でも、私は好きな作品。何度も何度も読み返しています。

何が好きって言われると上手く説明出来ないけど、時代が生んでしまった悲劇のヒロイン、奇子が愛おしくてしょうがないんです。まさに籠の中の鳥。
伺朗兄さんが奇子を愛していたのもよく分かります。

幼少期から大人になるまで章ごとに区切って展開されていきますが、文庫版で全2巻とかなりコンパクトにまとめられていて読みやすい作品です。
(その分、濃度は濃いけど)


興味を持った人は黒手塚の世界を一度体験してみてはいかがでしょうか?